「また、ここで走りたい」NAGOハーフマラソンの魅力
春の風物詩と人の温かみが詰まった
「NAGOハーフマラソン」
2017年1月22日、早くも桜のつぼみが膨らみ、日本一早い春の訪れを感じさせる名護市。今年で第58回目を迎えた「NAGOハーフマラソン」は、沖縄で最も歴史の古いマラソン大会の一つです。
日本陸上競技連盟競技の公認大会でもあるNAGOハーフマラソンは、名護市陸上競技場を発着点にハーフ(21.0975km)、10km、3km、3km親子といった種目があり、総勢3240名、6歳から75歳以上のランナーが出場しました。会場を訪れてみると今までの冬の寒さが嘘かのような天候と気温。ランナーの表情も自然とほころび、カップルや会社の同僚、ベビーカーを持参する親子が、スタートの合図を今かいまかと待ちわびていた。
開会式の挨拶を務め、みずからもランナーとして参加していた稲嶺進名護市長は、今大会にかける思いもひとしおです。
「名護の商店街をはじめ、屋我地島や奥武島といった島々を一望できる羽地内海(はねじないかい)、寒緋(かんひ)桜の名所やコスモス、我々の自慢とするロケーションの数々。今大会をきっかけにはじめて沖縄に来てくださる県外・海外の人に、この街の魅力を感じてもらうために、地の利を生かしたコースになっています。ランナーの皆さまには、安心して参加していただけるよう、去年からプロ野球のキャンプインと重ならないよう、配慮したり、宿泊施設の確保に努めてきました。さらに、地元企業やボランティアスタッフ、名桜大学にいる留学生の協力があってこそ、参加者の安全と言語などのサービスが実現されてきました。「走るのも良し、食べるのも良し、飲むのも良し。心と体がホッとするNAGOハーフマラソンのひとときを楽しんでほしい」と話して下さいました。
歴史ある NAGOハーフマラソンの魅力を探ってみた!
今回、NAGOハーフマラソンを密着取材してきました。現地の様子と名護の見どころを余すことなくレポートします。
スタートの号令を皮切りに走り始めたランナーたち。次々と名護の市街地に吸い込まれていく。沿道からは「がんばれー!がんばれー!」と街の人からの声援が聞こえてきます。お父さんを応援しにきた子どもたちは、目の前を走り抜けるトップランナーの速さに興味津々。大きくなったら、大会に出場するのかな?
次に見えてきたのは、名護のシンボルである「ひんぷんガジュマル」。推定樹齢300年といわれる国指定天然記念物のガジュマルは、これまで多くのランナーたちの姿を見守ってきただろう。
市街地を抜けるころには、気温がグングン上昇し、日中には、上着を脱ぎ捨て、ひたいから汗が流れるほどでした。
その直後、ランナーたちの背中を後押ししたのが、ピンクと白のグラデーションに彩られたロケーションでした。
10㎞過ぎに見えてくる羽地内海からは、心地よい浜風が吹き抜ける。とくに、「沖縄の松島」と呼ばれる羽地内海では、ふと足を止めたくなるような、のどかな名護の原風景を横目に、ランナーの足取りも軽くなります。
5km、10km、16km、19kmには給水ポイントがあり、日差しが照りつける中、地元のボランティアスタッフがランナーに水を補給。「ランナーも頑張っているからね、私たちも頑張らないとね」と冗談混じりに声をかける姿に、地元の人の温かみを感じました。
ハーフマラソン出場者2179人中、完走したランナーは2026名。ゴール後に、仲間たちと手と手を合わせて、お互いの健闘を祝う姿が印象的でした。
「名護ならではの応援」
NAGOハーフマラソンを見守り続けた人
NAGOハーフマラソンは、ランナーとボランティアスタッフ、そして沿道の応援があったからこそ第58回目まで続いてきました。今回、路上で応援していた2組のご家族にお話を伺いました。
「マラソン好きな娘だからね、沖縄県内の大会によく出場しています。ただ、自宅から距離があったのでなかなか応援しにいけなかった。でも、こうやって地元から近いマラソン大会なら、家族総出で応援できるのもこの大会の魅力の1つです」(友寄)
質問に答えながらも、娘がいつ来るのかとそわそわしながら待っていた。
遠くから「どんどん、どんどん、……」とひときわ軽快な音で声援を送る。
「息子がNAGOハーフマラソンなどのいろんな大会に出場するから、知らない土地で応援する楽しみがある。あと、息子の勤め先の会社からいただいた黒糖をランナーには配ります。沖縄の味を頬張りながら、ゴールまで頑張ってほしい」(藤本)
ランナーの足が止まりそうな、18km地点で応援していたためか、藤本さんの太鼓を叩くバチにも自然と力が入る。
「また、来たくなるよね」
これからも続くNAGOハーフマラソン
NAGOハーフマラソンに完走したランナーの皆さんにお話を伺いました。
「走っていたら、コスモス畑がパッと目に入ってきた。すごくきれいだったし、ついつい写真も撮っちゃいました(笑)」(宮里)
「二人で走ったからこそ、辛いときでも励ましあって走りきれました。タイムは、……まずまずです」(久高)
「さまざまな大会に出場していますが、沿道で太鼓、ときには鍋を叩いて声援する姿はこの大会ならでは。沖縄らしさを感じられるひとときでした。あと、こうして仲間たちと走れるのは感慨もひとしおです。ランは一人で走るものだと思われがちですが、ゴールで待ってくれる仲間たちがいるからこそ、辛いときでもめげずに走りきれるんです」(吉田)
「10年前から沖縄のマラソン大会に参加してきましたが、やっぱり人と気候のあたたかさは、何度訪れても心地よいものです。あと、会場近くにホテルがあるから女性も参加しやすいですね。これから日本中のマラソン大会に参加していきますが、NAGOハーフマラソンは私にとってはじまりを告げる場所なんです」(松田)
「私たちが会場に向かうために、バス停で待っていたら『NAGOハーフマラソンに出るのかえ?頑張りな』と地元の方にお声をかけていただきました。心強かったな」(浅井)
「私も、こうした地元の人たちとのふれあいがあったからこそ、リラックスして走ることができました。来年の第59回目もここに来ます!」(早川)
「走るのも良し、食べるのも良し、飲むのも良し。心と体がホッとするNAGOハーフマラソンのひとときを楽しんでほしい」
来年は第59回、再来年には第60回目を迎えるNAGOハーフマラソン。都会の喧噪を離れて、心と体をオフにできる時間がこの大会にはあります。
【NAGOハーフマラソン】
ホームページ:http://www.i-sam.co.jp/nago-marathon/
【公益財団法人 名護市観光協会】
ホームページ:https://nagomun.or.jp/