FIBAバスケットボールワールドカップ2023開催地の沖縄アリーナ~離島のバスケ部員が夢の舞台に立つ!〜
B.LEAGUE 2021-22シーズンも多くの熱戦が繰り広げられた沖縄アリーナでは、来年夏にバスケ界の祭典「FIBAバスケットボールワールドカップ2023(以下、ワールドカップ)」が、再来年には「B.LEAGUE ALL-STAR GAME 2024 IN OKINAWA(以下、Bリーグオールスター)」が開催予定です。多くのバスケファンが注目する夢の舞台・沖縄アリーナで、沖縄県の離島・伊江島のバスケ部員がスキルズチャレンジ(※1)に挑戦し、プロの熱戦を観戦しました。
(※1)スキルズチャレンジは、ドリブル・パス・シュートの3つのスキルで構成されるBリーグオールスターのコンテスト種目。
沖縄アリーナでのプレーを夢見て、部員たちがスキル向上に励む
今回沖縄アリーナを初めて訪れたのは、伊江島の伊江村立伊江中学校男子バスケットボール部員11名。(※2)
生徒らは、昨秋から、B.LEAGUEの社会的責任活動イニシアチブであるB.LEAGUE Hope(以下、B.Hope)(※3)が取り組んでいた「リモートコーチングsupported by SoftBank」(※4)に参加しスキルを磨いてきました。
(※2)伊江島は沖縄本島の北部・本部半島の北西9kmに位置し、フェリーで約30分の距離にある離島。人口約4,400人の有人離島。伊江島唯一の中学校が伊江中学校で、全校生徒は99名、バスケットボール部には12名が在籍(2021年11月時点)。
(※3)B.Hopeは環境、貧困、ジェンダーといった社会が直面する問題に対して、クラブ・選手・ファン・地域・パートナー企業を巻き込みながら持続可能な開発目標(SDGs)の実現を目指したアクションを推進。B.LEAGUE ALL-STAR GAME 2022 IN OKINAWAではバスケットボールを通じて社会課題の解決の一助となることを目指した活動を実施。
(※4)リモートコーチングは、島内唯一の中学校である伊江中学校が対外的な試合が組みにくい等の課題があり、コロナ禍でより深刻な状況にあったバスケ部員に対して、情報技術を活用しプロのコーチ指導のもとスキル向上を目指す活動。
リモートコーチングは昨年11月末、伊江中学校でのティップオフイベントでスタートしました。彼らは同イベントで、スキルズチャレンジのタイムアタックを行い、今回指導にあたる琉球ゴールデンキングスU18ヘッドコーチの与那嶺翼コーチから練習ドリルも教わりました。
ここから彼らは「VRドリル」と「スマートコーチ」という情報技術を活用しながら、沖縄アリーナで行う「本番」のスキルズチャレンジに向けて、約5ヶ月間練習を重ねていきました。
部員たちが夢舞台である沖縄アリーナで躍動
そして、待ちに待ったスキルズチャレンジの日が訪れました。5月7日、初夏を感じさせる日差しの中、伊江島からフェリーで本島入りし、昨年オープンしたばかりの沖縄アリーナに足を踏み入れます。普段は琉球ゴールデンキングスがホームとする最新鋭のコートに立ち、皆一様に緊張の面持ちです。
しかし、チャレンジ本番が始まって、スタートからタイムアタックをしていくうちに、ベンチで待機するチームメートや、ティップオフイベント以来の再会となった与那嶺コーチをはじめとする周りの人たちの応援もあって、彼らの緊張も少しずつほぐれ、笑顔が溢れるようになりました。11名すべてのタイムアタックが終わり、「優勝」は11月のティップオフイベントから18秒もタイムを縮めた2年生の大城春裕(おおしろ しゅんすけ)くんとなりました。
伊江中学校バスケ部顧問の松田道之先生は、コロナ禍で練習や対外試合ができなかった期間は、モチベーションにも影響したといいますが、スキルズチャレンジに挑む彼らの姿に感銘を受けていたようでした。「こんな良い舞台を用意していただいて、生徒たちもすごく真剣な表情で…。コートが良いのでみんなかっこよく見えました」。先生は笑顔でそう語ってくれました。
リモートコーチングで指導に携わった与那嶺コーチも開口一番「嬉しい」の一言と、当初の予定からは数ヶ月の延期を経て、晴れ舞台に立った彼らのチャレンジに感無量の様子でした。与那嶺コーチは「何事にもチャレンジをする気持ちを忘れないで取り組んでほしいなと思いますし、バスケットボールを大好きでい続けてほしいなと。心底、そういう思いを伝えたい」と彼らにメッセージを送りました。
その後、彼らは、この日開催の琉球ゴールデンキングス対広島ドラゴンフライズの試合観戦のためにスタンドへ移動。試合前にはサンドウィッチやからあげなど、アリーナグルメに舌鼓を打ちます。
試合は、西地区上位チーム同士の注目カード。試合が始まると、プロの選手たちがコート上で繰り広げる最高峰のパフォーマンスを食い入るような表情で観戦します。
自身と同じセンターとしてプレーする琉球ゴールデンキングス #45ジャック・クーリー選手に注目していたという、2年生の知念優成(ちねん ゆうせい)くんは「選手は(動きに)勢いがあって、見ているだけで迫力を感じました」と興奮気味でした。他の部員たちも、コート上でダイナミックなプレーが繰り広げられた時などは、手を叩きながら喜んでいました。
3年生でチームのキャプテンを務める内間裕飛(うちま ゆうひ)くんはスキルズチャレンジ後、将来はプロのバスケットボール選手となって活躍したいという夢を話してくれました。
この日、沖縄アリーナでスキルズチャレンジに参加した経験は、彼らが今後、バスケットボールに取り組み続ける上で大きな刺激を与えたようでした。東京オリンピック直前の昨年7月には、同会場でバスケットボール男子日本代表の強化試合が開催されました。将来、伊江中学校のバスケットボール部の中から日本代表として戦う選手が出てくるかもしれません。 また試合終了後には、アリーナ併設の「沖縄アリーナショップ」にも訪れ、Tシャツやキーホルダー、文房具などを手に取り、楽しそうな表情で何を買おうかと相談をしていました。
FIBAバスケットボールワールドカップ2023の開催で、沖縄を元気に!
大半の部員たちが沖縄アリーナを訪れるのが初めてで、2023年のワールドカップやその翌年のBリーグオールスターといったビッグイベントも行われるきらびやかな会場の雰囲気を心から堪能していました。松田先生は、生徒たちが今回、プロのコーチから指導を受けるリモートコーチングと、沖縄アリーナでのスキルズチャレンジという機会を経験し、ワールドカップなどもより「身近に感じた」だろうと振り返りました。
沖縄県としてもワールドカップやBリーグオールスターといった大会を大きな契機と捉え、今後、さらにスポーツアイランドの形成に向けた機運醸成を図っていきたいと考えています。沖縄県文化観光スポーツ部の宮平洋志氏は「スポーツを通じて子どもたち、若い世代から上の世代までを繋げていくことは非常に重要です。来年にはワールドカップが、その翌年にはBリーグオールスターがあるということで、バスケットボールを中心にしたスポーツの力が沖縄に元気を与えてくれるのではないかと思っています」と話します。
沖縄は地理的にアジアとの距離も近く、ビジネスのハブ拠点としての役割があります。B.LEAGUEは国際戦略も推進していますが、琉球ゴールデンキングスの存在、ワールドカップやBリーグオールスターの開催が国内外に「スポーツアイランド沖縄」をさらに印象づけ、沖縄県に活気をもたらす機会となっていくでしょう。
今回、リモートコーチングに取り組んだ伊江中学校の部員たちのように、沖縄の子どもたちにとっても、間近でトップ選手のプレーを観戦できるまたとない機会となります。来年のワールドカップ、そして2024年のBリーグオールスターと沖縄アリーナで行われるビッグイベントで、沖縄を大いに熱くしましょう。