正しいコンディショニングがスポーティーで美しいカラダをつくる
スポーツには体づくりが大切。大会に挑戦する人ならなおさらです。
そして、それは健康や美容につながったりします。ここでは体づくりの基本となるコンディショニングに
ついて、専門家のアドバイスをいただきながら、やさしく解説していきます。
那覇市にあるパーソナルトレーニングスタジオ「falcon」代表。野球、ゴルフ、サッカー、競輪、トライアスロン、ハンドボールなどのプロ選手に対するトレーニング指導を多数行っている。また、学生や一般向けのパーソナルトレーニングも実施。MLBワシントンナショナルズスプリングキャンプインターンシップ(S&Cコーチ)、ミャンマーナショナルチームへのトレーニング指導&現地指導者への育成指導ほか、高校部活動へのトレーニング指導など、外部指導でも活躍中。
コンディショニングのススメ
アマチュアであれプロであれ、スポーツをやる人にコンディショニングはとても大切です。その基本は体の状態を本来の姿に戻すこと。意外ですが、プロのアスリートでも、身体の酷使や偏ったトレーニングにより、身体のアンバランスや不調を抱えていることがよくあります。
そうした状態をリセットしてあげることがコンディショニングの第一の目的。それによって痛みや不調を改善し、けがの予防につなげる効果もあります。さらにスポーツをするのに必要な筋肉や体幹の機能を向上させ、力が発揮できるようになります。コンディショニングとは女性の美しさをいっそう輝かせ、スポーツにチャレンジする体をつくる、すぐれたメソッドです。
沖縄はコンディショニングにも最適
沖縄は各市町村に立派な競技場があり、そこにトレセン(トレーニングセンター)が付設されています。こうした施設が誰でも無料で使えるのは大きなメリット。しかも、シャワーやトイレ、無料駐車場も付いています。こうしたトレセンではヨガマットひとつあれば、トレーニングやコンディショニングができます。さらに近くにビーチがあるところもあります。沖縄の砂はサラサラで足の裏をほぐすにも最適です。そして、冬でも寒さを気にしなくて済むという気候のよさもメリット。プロ野球選手が1月から沖縄で自主トレを行うなど、昔はハワイやグアムでトレーニングしていたアスリートたちが沖縄に集まるようになっているのは、気候のよさ、環境のよさの証明でもあります。
呼吸法やほぐし体操は、できれば年中やりたいですね。子どもさんからお年寄りまで、だれにでもおすすめできます。トレーニングは、大会の1~2ヶ月前あたりから行うと効果的でしょう。さらに器具を使ったトレーニングに入る前にもいいと思います。ケガ予防にもつながりますよ。
ビフォーチェック
コンディショニングを始める前に、体のチェックを行いましょう。どれだけ前屈できるか、上体はどのくらい後ろに反らせられるかなどを確認しておきます。コンディショニング後にも同じチェックをすると、効果を実感することができます。
1.まず前屈です。
無理はせず、どのくらい体が曲がるか確認しておきましょう。
2.次は後屈。
こちらもどのくらい曲がるかチェックします。
3.手を上げてしゃがみこむ動作。体がどのくらい動くか確認します。
4.ももを上げて、どのくらいバランスとれるかのチェックです。
呼吸法
まず腹式呼吸を行います。ほぐし体操の前に呼吸を整えておくことはとても重要です。3秒で鼻から吸い、2秒間息を止め、5秒かけて吐きます。合計10秒を10回行いましょう。意識しながら息を吸い、深い呼吸に持っていくと効果的です。
1.息を吸うときに下腹が膨らむように意識しましょう
2.下腹の次は、側腹(脇腹)も動くように息を吸います
3.息を吸ったとき、胸も起きてくるようにするとバッチリ
ほぐしエクササイズPart1
腹式呼吸をきちんと行ったら、次はほぐし体操その1へ入ります。まずは腰です。腰のほぐしはスポーツにはもちろん、デスクワークをされる方にもおすすめ。次は股関節。この体操で股関節の動きがよくなります。続いて上半身のほぐし。これで特に肩回りが柔らかくなります。これらの体操をするときはリラックスを心がけましょう。無理は禁物。さきほどやった呼吸を意識するようにしましょう。
1.腰のほぐしでは、まず両ももを90度に曲げ、両足を交互に小さく胸に引きつけるようにします。その後両足を下ろし、膝は曲げたまま足を閉じて、左右に軽く揺らします
2.股関節のほぐし。片膝を立て、その足を外側に開き、いったん伸ばして内側に入れて戻します。膝が円を描くようなイメージです。
3.上半身のほぐしでは、まず手のひらを内側に向け、息を吸いながら両手を上げます。そして息を吐きながら戻しましょう。続いて、両手を横に開き手のひらを上に向け、息を吸いながら頭の上に持っていきます。胸を開くようなイメージで行います。
ほぐしエクササイズPart2
Part1よりレベルの高いほぐしエクササイズを行います。まずは体幹。体幹とは腹部を含めた胴体の中心となる部分ですが、この部分のストレッチをすると代謝がよくなるので「むくみ」が改善され、シェイプアップにも効果があります。また姿勢もよくなります。続いて上半身。Part1にプラスして、胸回りをほぐしていきます。下半身もPart1に引き続き、股関節回りをほぐしていきます。さらに肩甲骨のほぐしも行います。
1.体幹のほぐしでは、両足を曲げて立て、膝をくっつけます。そして横にひねりましょう。左右両側行います。このとき肩が浮かないようにするのがポイントです。
2.上半身をほぐします。体を横向きにして、手を上から回すようにします。丸めたタオルなどを頭の下に置くと楽になります。
3.息股関節(お尻から背中)をほぐしましょう。腕を前に伸ばしてから元に戻す動作を行います。
4.今度も股関節ですが、今度はそけい部から側腹をほぐします。片膝をつき、腕を上に伸ばし、横に倒してから戻します。
5.さらに股関節です。ももの裏からお尻、さらに腰にかけての部位をほぐしましょう。まずしゃがんで胸を張り、手の指先で足のつま先に触れるような姿勢を取ります。そして息を吐きながら、お尻を天井に向かって持ち上げるような動作をしましょう。
6.そして肩甲骨のほぐしです。両手の甲をくっつけて肘を目の高さまで上げ、手を外側に開いていきましょう。
トレーニングPart1(体幹発展型)
ほぐし体操が終わったら、いよいよ実戦に向けたトレーニングに入っていきます。最初は体幹発展型です。まず、仰向けになって胸を起こす動作を5回行います。次に横へねじる運動。意識して側腹の筋肉を使い、ねじる方向と反対側のお尻を上げるようにしましょう。そして背面では、お尻と背中の下部に効く運動を行います。これによってゆるんだ背筋が締まります。特に猫背の人は背筋がゆるみがちなのでこの運動は効果的。また、けがをしにくい体を作るにもいい運動なので、初心者もやっておきたいものです。
1.膝を曲げ、少し手を浮かせて息を吐きながら上体を持ち上げます。このときおへそを見て、あごを引くようにしましょう。おへその下をへこませるように意識しながら、肩甲骨が浮くぐらいまで持ち上げます。
2.横へねじる運動は側腹に効きます。膝の外側を反対側の手でタッチしながら上半身を斜めに上げましょう。下にある手で床を支えながら上体を起こしましょう。
3.背面(お尻)に効く運動です。つま先を浮かせ、息を吐きながらお尻を持ち上げます。このとき膝から肩にかけてのラインがまっすぐになるようにするのがポイント。さらに手で踏んばらないよう、手のひらを上に向けておきます。
4.背面(背中下部)に効果のある運動です。足のつま先は外側に向け、手のひらを上に向けてうつぶせになります。そして息を吐きながら、かつ手のひらを返しながら、指先をかかとの方向に引っ張るようにしながら上体を起こします。胸から顔が自然に上がるようならバッチリです。
トレーニングPart2(全身運動)
これまでのストレッチやトレーニングを踏まえて行う、さらに上のステージを目指す人向けのメニューです。競技用なので大会等に出る方は事前にやっておくのがおすすめです。内容はスクワット、腕立て伏せ、フロントランジ、T字バランスで、全身運動となります。
1.まずスクワット。かかとの幅を腰幅と同じくらいにし、つま先は11時と1時、または10時と2時くらいに開きます。後ろにあるイスに座るイメージで体を上に持ち上げ、同時に息を吐きます。足の裏が浮かないように、なおかつ腰が丸くならないように、そして体をまっすぐ下げてまっすぐ上げるのがコツです。
2.腕立て伏せです。膝を立てて手は肩の真下へもってきて、幅は肩よりやや広くします。そして膝から頭までのラインがまっすぐになるようにして胸を床に落とすように体を下げます。このとき、お腹の力を抜かないようにしましょう。体を上げるときは息を吐き、おなかをへこませるイメージで。腕立てができない人は、肩甲骨を寄せないようにし、肘は肩の真下に置き、下腹を締めて30秒間静止するポーズを行います。手足は力まず、お腹の力でまっすぐをキープします。
3.フロントランジを行います。両手を胸でクロスさせ、直立姿勢からももを上げて片足を前に踏み出してしゃがみます。踏み込んだときに前足の裏が浮かないよう、前足側のお尻で支えましょう。そのあとは、踏み込んだ足で床を押すようにして戻ります。このとき体がグラグラしないように。
4.T字バランスです。手を広げて立ち、ももを上げて、その足をうしろに持っていきます。横から見たときに上半身、お腹、下半身、そして足がきれいなT字を描いていればバッチリ。股関節が柔らかくなり、特にマラソンや自転車、水泳などの競技をする方にもおすすめしたい運動です。
アフターチェック
コンディショニングを行った後、体の柔らかさやバランスがやる前よりよくなっていることを確認しましょう。
1.前屈ではコンディショニングをやる前より曲がるようになっているはずです。
2.片足立ちではやる前より安定していることを確認しましょう。