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MY ROOTS OKINAWA vol.5 吉田 竜平さん

Interview

吉田 竜平さん
Profile
吉田 竜平(YOSHIDA RYOHEI)
1981年生まれ、山形県出身。2001年沖縄に移住、現在名護市在住。スタンドアップパドルサーフィン(SUP)に魅せられ、多くのSUP大会やイベントなどに出場し、上位入賞の常連となっている。ここ5年間の実績等は以下の通り
2011年
・サバニ帆漕レース 伝統サバニの部 チーム海想 優勝
2012年
・サバニ帆漕レース 伝統サバニの部
 チーム海想 優勝
2013年
・万座 立漕人CUP 第3位
・CARVY CUP 第2位
2014年
・CARVY CUP 第2位
・青島漕楽CUP 第2位
・サバニ帆漕レース 伝統サバニの部
 チーム海想 優勝
・徳島 吉野川SUPマラソン
・エリートレース 第2位
・Waterman league in CHIGASAKI
 総合第8位
2015年
・石垣島SUPグランプリ 優勝
・立漕人CUP 第2位
・CARVY CUP 優勝

スタンドアップパドルサーフィンとは

サーフボードのようなボードの上に人が立ち、パドル(オール)で漕ぎながら波に乗って滑走したり、水面を移動したりするマリンスポーツ。長距離クルージングも可能なほか、全身運動でエクササイズ効果もあるといわれ、起源とされるハワイでは年齢や性別を問わず多くの人が親しんでいるという。

マリンスポーツを探求していて出会ったSUP

 私はもともとマリンスポーツの仕事がしたいという思いを抱いていました。年間を通してそれができるのは日本中で沖縄しかありませんので、必然的にこちらへ移住することになりました。
 移住後7、8年ほど万座や座間味、今帰仁村でライフセービングの仕事をしていました。やはり沖縄の海は年間を通して入れるほど暖かく、明るくて砂浜も陸も非常に美しい。そこが大好きです。
 SUPを始めたのは5、6年前。もともと沖縄ではサーフィンやシーカヤックなどのマリンスポーツが楽しまれていますが、当時私はもっと新しいスタイルの楽しみ方を探していました。そしてハワイに自分の力で遊べるSUPというスポーツがあることを知り、沖縄でやってみることにしました。
 現在は余暇を活用してSUPの練習をしたり大会に出たりしています。SUPで食べているわけではありませんが、スポンサーもついているのでセミプロといえるかもしれません。この世界ではプロとして活動している人もいて、私もプロを目指しています。
 主な練習場所は名護市の自宅に近い嘉陽ビーチや汀間(ていま)川など。特に汀間川は沖縄では珍しいSUPのできる川で、練習にはとても重宝しています。大会では県外へ出向くこともあります。

吉田 竜平さん

沖縄の海とSUPは相性が抜群

 SUPの特徴のひとつは上から眺める景色がすばらしいこと。シーカヤックやカヌーなどは、ほぼ水面からまわりの景色を眺めますが、SUPは立って眺めるので見え方が違います。特に上から眺めるサンゴ礁の景色はすごく感動的。だから沖縄の海にもっともマッチしたマリンスポーツがSUPだと思うんです。
 さらに外洋に出られることもSUPの大きなメリットです。イノー(リーフの内側の浅くて波のおだやかな水域)で、プール感覚で遊ぶのも楽しいですが、リーフの外の広くて深い海域へ漕ぎ出すときは胸が躍ります。海と自分だけの世界で海と一体になれる、本当にすばらしい時間ですね。ちなみに日本で最長のSUPレースは沖縄で開催されています。これは予選と決勝で合計30km越えるレースで、2015年大会では宜野座村からうるま市の海中道路までの外洋を一直線に漕ぎました。
 また、沖縄の海そのものがSUPに向いていることもあります。波のおだやかな水域から多少波のあるところ、そして外洋まで、初心者から上級者まで、どんなレベルの方でも楽しめます。それも年間を通してできます。
 ちなみに沖縄は、地形と風の関係で夏場は西海岸の波がおだやか、冬場は東海岸がおだやかとなります。そのためレベルに合わせてコンディションが選べるというメリットもあります。

沖縄にSUPの原点を感じる

 ある年の春、海にいると地元のオジイがひとり、砂浜で小さな舟を引っ張り出していました。聞いてみると、潮が一番引いた時間帯にオバアも乗せてふたりでサザエやタコを捕りに行くというのです。
 エンジンも付いていない小舟でどうやって進むのかと見ていたら、オジイは慣れた仕草で船尾に立ち、手にした竹竿で漕いだり海底を押したりして進んで行きます。その漕ぎ進む姿は、まるでSUPそのもの。オジイは「40年前からずっとやってきたさー、まかせてよー」といっていました。
 「SUP」なんて言葉もない時代から、こういうスタイルで漁をして暮らしてきた人達がいることに驚きました。同時にSUPの原点を見た気がして感動したのを覚えています。一方で、オジイのことなど気にもかけず、鋭い目つきで獲物だけを狙うオバアを見て、笑いがこみ上げてきました。

SUPは女性に向いている

 さらに女性にも大きなメリットがあります。男性は力に頼って競争しようとしたりしますが、女性は力というよりも、体全体をしなやかに使うのでエクササイズにもなります。また一般的に女性の方が体重が軽いので関節への負担も少ないですね。ある意味SUPは女性向けのマリンスポーツといえます。ちなみにSUPのボードの上でやるSUPヨガというのもあるそうです。
 もちろんグループでも楽しめますし、沖縄にはSUPのボードレンタルをしているお店も揃っているので、着替えだけで気軽に楽しめることも魅力です。

初心者は春と夏、特に5,6月がおすすめ

 季節的にはもちろん年中できますが、初心者には4月~10月の夏場がよいでしょう。特に5~6月はおすすめです。
 この時期は本格的に暑くなる前ですが、冬場に比べると水は温かくなっています。沖縄では梅雨の季節ですが、雨はSUPには好都合。というのも、パドリングでほてった体を雨がクールダウンしてくれるからなんです。またこの季節は意外に波がおだやか。さらに雨は空気中のホコリなどを洗い流してくれるので、降った後は空気がきれいになり、景色もくっきり見えます。
 GWが終わり、夏休みが始まるまでの5月中旬~7月まではあまり混まないのでスケジューリングもしやすいですね。最近はLCC便も増えて沖縄へ気軽に来れますし。
 一方、本格的に取り組むなら冬場がいいかもしれません。紫外線や直射日光はそれほど強くないし、水分補給にも夏場ほど気を使わずに済みます。ガンガンやるなら冬場がおすすめですね。
 ボードは大人が2、3人乗っても十分浮いていられるほどの浮力があって、それに命綱でつながった状態で漕ぎます。なので海に落ちてもボードにつかまれば溺れることはありません。さらにライフジャケットを着れば万全といっていいでしょう。

吉田 竜平さん

本島なら、手つかずの自然が残る北部

 場所としては、本島ならやはり北部をおすすめします。人工物が少なく、手つかずの自然が多く残っているのが理由です。たとえば陸からでは行けないけれど、海からならアクセスできるという場所がいっぱいあります。まったく人のいないビーチもありますので、そういうところでのキャンプも最高ですね。
 ちなみにこの記事の写真と動画は本島北部、金武町にある伊芸海浜公園のビーチ付近で撮影しています。
 離島なら慶良間諸島がおすすめです。那覇からアクセスが容易にも関わらず、海のきれさと透明度は世界に誇れます。SUPならそんな素晴らしい海の青が、自分の足下全体に広がるのを味わうことができます。
 しかも大小多くの島々が連なっているためにウネリや風が遮られ、いつでもどこかしらの静かな海面でSUPを楽しもことができます。陸からでは見ることができない特別な景色を堪能することもできるでしょう。ガイドショップもいくつかオープンし始めていて、SUP体験には困らないと思います。

吉田 竜平さん

始めるならOKSUP加盟のショップへ

 SUPを始めるならショップに問い合わせるのが一番早くて確実だと思います。沖縄県スタンドアップパドルボード連盟(OKSUP)という団体がありまして、そこの加盟ショップなら安心で確実だと思います。ボード等の用具ももちろんショップで用意しているので、手ぶらでも大丈夫ですよ。くわしくはOKSUPのウェブサイトをご覧ください。

吉田 竜平さん

SUPとサバニの関係性

吉田竜平さんは「サバニ帆漕レース」などサバニ関連のイベントにも毎年のように出場し、優勝の経験も豊富だ。沖縄伝統の漁船であるサバニとSUPの関係性について、彼は次のように話す。
「サバニは海人(ウミンチュ=漁師)にとって生活の一部ですから、操船技術は暮らしに直結するものです。彼らは海を理解し、風や波を感じ、それに漕ぎ方を融合させてきました。そうやって自然に合わせて舟を操作しながら航海したのです。この感覚や技術はSUPにも通じるところがあります。その意味では、沖縄にはSUP普及の文化的土台が、もともとあったともいえますね」