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スペシャルインタビューVOL.4 競技自転車女子選手の第一人者が実践!"一人暮らし的" 名護合宿のススメ

Interview

静岡県掛川市出身、LUMINARIAに所属するプロ自転車競技選手の西 加南子(にし かなこ)さんは、「女は年齢じゃない、肌と筋肉だ!」をモットーにしつつ、美味しい物を食べたりカフェを巡ったりと、女性らしさを失うことなく、しなやかに活動するロード選手です。沖縄県北部名護市内に部屋を借り、合宿期間中は泊まり込みでトレーニングをされるなど、沖縄好きとしても知られています。 そんな西さんに、"女性目線の"サイクリング事情や合宿環境を中心に、沖縄の食事情やオフの過ごし方といった生活スタイルなど、男子アスリートとはひと味違う、知られざる"沖縄の魅力"を伺いました。

聞き手:森 豊 沖縄県サイクルスポーツ振興協会

自炊が基本の女子選手にとっては、名護はとても住みやすい街

"スポーツアイランド"を掲げる沖縄では、現在、合宿誘致活動などを通して、競技自転車の普及を目指しています。西さんが沖縄で合宿を行うようになったきっかけや理由を教えて下さい。

 沖縄に通うようになって、もうかれこれ5年、名護(市)に部屋を借りるようになってからは3年経ちます。沖縄で合宿を行う理由としては、もちろん暖かいこともありますが、私はかなりひどい花粉症持ちなので、春先のこの時期、花粉が飛んでないことが一番の理由です。ここでは苦しまずにトレーニングに打ち込むことができます。それから、沖縄というより、私は、「名護」という地を気に入っています。もちろん、山も平地もあり、車も信号も、中南部に較べて少ない北部はトレーニングコースに出やすいというのも大前提ですが、街にはスーパー、それにカフェや飲食店も充実していて、まさに女性の"一人暮らし"向きです。チームで合宿を行う場合、通常はホテル滞在になりますが、私のように個人で合宿を行う、自炊が基本の選手にっては、名護はとても住みやすい街です。

撮影協力:Cafe ENISHI
撮影協力:Cafe ENISHI

食事は基本的に自炊されているのですか?

そうですね。沖縄に来る理由として、沖縄の野菜を食べられるというのも大きいんです。特に1~3月は、野菜の種類も豊富です。沖縄というと、一般的に海やリゾート、食でいうと肉のイメージが強いですが、私はここ数年自炊するようになってから、沖縄の野菜の魅力を知りました。本土には無いような変わった種類も多くあり、見ているだけでも楽しいです。自炊で大好きな野菜をたくさん取り入れているので栄養面も全く心配ないし、むしろ地元にいるより、美味しくて新鮮な野菜を食べているから、肌の調子も良いんです。本土に較べてお値段が安いのもありがたいですね。
 例えば、島らっきょうを塩麹で漬けたり、島ニンジンを豚肉で炒めたりするのですが、野菜の味が濃いので、凝ったことをしなくても、十分美味しくいただけます。それから、おいしいパン屋さんもあるので、朝は買ってきたパンとコーヒーで済ませています。もちろん外食もしますよ。美味しいお店もたくさんありますし、もう3年も住んでいたらどこに何があるかだいたい分かるので、食べることで困ることは一切ないですね。

食事は基本的に自炊されているのですか?

個人で合宿をする場合、トレーニングのメニューに苦労したり、
設備などに物足りなさを感じたりしませんか?

次のメインターゲットとなる来年のレースに照準を合わせていて、自分でメニューを組むのにももう慣れているので、問題ないです。むしろ、1~3月のこの時期は、体の基礎を作ることを主眼に考えていて、設備としては、ウエイトトレーニングの有無を重視しています。ですので、トレーニングマシンではなく、フリーウエイトが充実しているジムを探していました。なかなか見つからなかったのですが、名護にはなんと2軒もありました。これも大きいですね。

地域に密着したコミュニティの存在も、
名護で部屋を借りて合宿を行う理由の一つ

先日、地域のコミュニティFMラジオに出演されていましたね。

 はい。自転車の話しは半分で、ほとんどがそれ以外の話になりました(笑)。やはり女性が一人で来ていると地域に馴染みやすいというか、必然的に交流の機会が増えていきます。私は、「イノーコーヒー」というお気に入りのコーヒー屋さんがあって、ほぼ毎日のように通っています。3日来なかったら、何かあったということだから、通報してくれとお店の方に伝えてあるんですよ(笑)。
 そのコーヒー屋さんには、本格的なトレーニングスーツを着て競技自転車に乗り、毎日のように1人で行っていたので、目立っていたのかもしれません(笑)。ある時、ラジオに出ませんか?とお誘いを受け、出演することに。そんな感じで、飲食店に行くと、いろいろな方が話しかけてきてくれて、コミュニティの輪が広がるんです。こういったことがきっかけで、私たちのような女子の競技自転車の理解者が少しでも増えればいいなと思っています。こうした地域に密着したコミュニティの存在も、私が名護で部屋を借りて、合宿を行う理由でもあります。

先日、地域のコミュニティFMラジオに出演されていましたね。

部屋を探すのは大変ではなかったですか?

 1~3月は、旧正月に当たるので中国や台湾からの観光客や、春休み中の学生が多く、ホテルの予約が取りづらいんですね。とはいえ、部屋を借りるとなると地元の不動産情報が頼りで、普段、県外にいる人は情報収集しづらいのですが、大学のある名護は、この時期、学生がアパートから出て行くタイミングでもあるので、意外に探しやすかったりします。私の周りにも、2~3週間程度、沖縄に来て合宿をしたいという女子選手は結構います。ちょうど今、私の隣の部屋が空いているので、何とかして1人連れてこようと説得中です(笑)。あとは、空いている一軒家なども探せば結構あるので、シェアができたら良いなとも思います。そういう空き物件情報を、地元の不動産業者と連携し、うまく発信・共有できるような仕組みができたら、沖縄でさらに合宿しやすくなると思います。

やんばるは、間違いなく第二の拠点です。いずれ家を買って住めたら良いな

トレーニングは毎日されていますか?

トレーニングは毎日されていますか?

 合宿しに来ていますので、練習に集中したいという気持ちもありますが、リラックス・休憩の時間も半分です(笑)。オフの日は、料理を作ったり、海を見に行ったり、「ファーマーズマーケット」もあるので、変わった野菜がないかチェックしに行ったりします(笑)。それから、お気に入りのカフェでのんびり過ごしたり。特に、ネオパークの奥にある「クックハル」は野菜が美味しくて、よく足を運びます。競技自転車スタイルで(笑)。
 ここでは最近、競技自転車用のラックを作っていただいたんですよ! 農家や芸術家の方など、地域の様々な職業の方が集まる場なのですが、木工作家の方がいらして、いつの間にかとても素敵な木のラックを作ってくれていました。ラックがあるか無いかで、お店への入りやすさが断然違ってきますので、とても嬉しかったですね。沖縄北部は、合宿する男子選手も多いので、ラックのあるお店が増えてくれたらありがたいですね。

競技自転車選手にとって名護はオススメのエリアなのですか?

 名護は、自転車のトレーニングはもちろん、女性は特に美味しい野菜を食べられて、肌も綺麗になって、デトックスできる最高の場所です(笑)。あとは、名護に限りませんが、居酒屋で定食が食べられるのも沖縄の魅力と言えますね。本土の居酒屋では、お酒を頼まず食事だけというのはまず考えられないんですよ。一人暮らしをする人にとっては本当に助かります。ちなみに、朝はパンとコーヒーと言いましたが、名護では、日曜日にパン屋さんなど、ほとんどのお店が閉まっているんですよね。なので、食材は土曜日に確実に買っておきます。まあこれは、「週末は休もうよ、家族でいようよ」ということなのだと思います(笑)。日曜日に1人でいても平気な女性は結婚できないかも........ということも気付かされました(笑)。
 いずれにせよ、名護は、各種史跡も点在していますし、北部の屋我地島や古宇利島、本部半島には沖縄美ら海水族館など、観光名所も多く、且つ自転車で行ける距離なので、自転車に乗る女性にとっては生活を満喫できる最高の地だと思います。選手である前に一女性として、名護の地は本当に魅力的です。やんばるは、私にとって、間違いなく第二の拠点です。いずれ家を買って住めたら良いなと本気で考えています。

トレーニングは毎日されていますか?

プロフィール

静岡県掛川市出身。Team Focus Outdoor Productsなどを経て、現在LUMINARIA所属。2009年、39歳にして全日本選手権で優勝、全日本チャンピオンに。2010、2011年と全日本と並ぶ国内最高峰レース、ジャパンカップオープンレース(女子)連覇を達成。2年連続で年間9勝を挙げる実力派。

西加南子オフィシャルサイト